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はじめに:「本当に公務員になりたいのか、わからない」
公務員への転職を考えている方から、こんな相談を受けることがあります。
「専門職の募集がなかなか出ないので、一般事務の公務員も考え始めました。でも、本当に公務員になりたいのか、自分でもよくわからなくて……」
「志望動機を書こうとしても、きれいごとしか出てこないんです」
ある方は、十年以上ひとつの専門職としてキャリアを積んできた方でした。転職を考える中で、ふと「市役所」という選択肢が浮かんだものの、その理由を自分の中で言葉にできずにいました。
元市町村の人事担当として、こうした方にまずお伝えしているのは、「100%の確信を持って公務員になる人なんて、ほとんどいない」ということです。
この記事では、「なぜ公務員なのか」という問いに、自分なりの答えを出すための考え方をお伝えします。
心から100%の確信を持って公務員になった人は、ほとんどいない
職業との出会いには、偶然や縁がつきもの
私の持論ですが、子どもの頃から憧れ続けてきた職業でもない限り、「心の底から100%この仕事がやりたい」と思って就職する人は、ほとんどいないと思っています。
職業との出会いには、何かしらの偶然や縁、タイミングがつきものです。たまたま募集が出ていた、身近にその仕事をしている人がいた、生活の事情で働く場所が限られていた――。そうしたきっかけで仕事を選ぶのは、まったく自然なことです。
100%の確信を持つ人ほど、実は危うい
むしろ、「この仕事こそが私の天職だ」と100%信じ込んで入ってくる人のほうが、危ういことがあります。
理想が高すぎるぶん、実際の仕事とのギャップにぶつかったときに、「こんなはずじゃなかった」と心が折れてしまいやすいからです。
働いている人の多くは、心のどこかで「この仕事でよかったのかな」と思いながらも、毎日の仕事にやりがいを見つけて続けています。迷いがあること自体は、何もおかしくないのです。

自分に向いた矢印を、外に向ける
最初の理由は「自分のため」でかまわない
では、志望動機はどう考えればいいのでしょうか。
最初に出てくる理由は、多くの場合「自分のため」のものです。
- 新しい仕事に挑戦してみたい
- 安定した環境で長く働きたい
- 専門職の募集が少ないから、一般事務も考えたい
こうした理由は、決して悪いものではありません。正直な気持ちです。ただ、このままでは面接で語る志望動機としては弱くなってしまいます。矢印が、自分にしか向いていないからです。
「なぜそう思うのか」を掘り下げる
ここで大切なのは、その「自分のため」の理由を否定せず、「なぜそう思うのか」を掘り下げていくことです。
たとえば、「いろいろな新しい仕事をしてみたい」という気持ちがあるとします。そこを掘り下げてみると、
- いろいろな仕事をしたいのは、自分の力を一番発揮できる場所を探したいから
- 自分の力を発揮できれば、それは結果として誰かの役に立つ
- 一つの分野に限らず、地域の人のために幅広く力を使えるのが公務員の仕事だ
というふうに、自分に向いていた矢印が、少しずつ外に向いていくことがあります。
心の奥の「本音」も、まずは受け止める
掘り下げていく中で、「本当は、民間の仕事がしんどかったから逃げたいだけかもしれない」といった、あまり人に言いたくない気持ちが出てくることもあります。
それも、まずは否定せずに受け止めてください。そのうえで、その気持ちを上回るくらいの「やってみたいこと」が自分の中にあるかを探してみる。最初にその仕事を目指したきっかけや、これまで心が動いた場面を、一つずつ振り返っていくのです。
そうして見つけた思いは、借りてきたきれいな言葉より、ずっと強い志望動機になります。
「考え抜いた本心」と言い切れれば、それでいい
志望動機に必要なのは「100%の真実」ではない
ここまで考えても、「これが絶対の本心だ」と言い切れる自信は持てないかもしれません。それで大丈夫です。
大切なのは、「今の自分が考え抜いて出した答えだ」と言い切れることです。自分を説得でき、周りの人にも説明できる。それができれば、志望動機としては十分です。
考え抜いた答えは、迷ったときの支えになる
もうひとつ、考え抜くことには大きな意味があります。それは、入ってから迷ったときの支えになるということです。
公務員として働き始めると、嫌な上司に当たったり、つらい仕事を任されたりして、「なんでこの仕事を選んだんだろう」と思う日が必ず来ます。
そんなとき、「あのとき、これだけ考えてこの道を選んだんだ」と思い出せる人は、踏みとどまることができます。逆に、なんとなく選んだ人は、壁にぶつかった瞬間に崩れてしまいやすいのです。
理由は一つでなくていい
付け加えると、公務員を選ぶ理由は一つでなくてかまいません。
「地域の役に立ちたい」という思いと、「家族のそばで安定して働きたい」という生活の事情。両方あっていいのです。理由が複数あれば、どれか一つが揺らいだときにも、もう一つが支えてくれます。

一度、最終面接まで進んだ人へ
最後に、以前に公務員試験を受けて、最終面接まで進んだものの不合格だったという方へ。
最終面接まで残ったということは、その時点で公務員としての適性は十分に認められていたと考えていいと思います。最終の段階では、受験者の力の差はほとんどなく、採用する人数や全体のバランスなど、本人の力とは関係のない事情で結果が分かれることもあるからです。
ですから、「自分には向いていないのでは」と必要以上に落ち込む必要はありません。適性はある。あとは、「なぜ公務員なのか」を自分の言葉で言い切れるかどうかです。
民間から公務員に転職して合格する人の特徴については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
まとめ:迷いながら選んだ道でいい
この記事のポイントを振り返ります。
- 心から100%の確信を持って公務員になる人は、ほとんどいない
- むしろ100%信じ込んでいる人ほど、理想とのギャップで心が折れやすい
- 最初の理由は「自分のため」でかまわない。そこから掘り下げて、矢印を外に向けていく
- 志望動機に必要なのは「100%の真実」ではなく、「考え抜いた本心」と言い切れること
- 考え抜いた答えは、入ってから迷ったときの支えになる。理由は一つでなくていい
迷いながら選んだ道でも、考え抜いて選んだのなら、それはあなたの道です。胸を張って、自分の言葉で「だから公務員なんです」と伝えてください。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます😊

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