目次
はじめに:「あの質問、失敗のサインだったのかな…」
面接が終わったあと、こんなふうに悩んだことはありませんか?
「最後のほうで、同じことをもう一度、少しきつめに聞かれた。きっと答えが良くなかったんだ」
「途中で質問の意味がよくわからなかったけど、とりあえず答えてしまった」
私が模擬面接や本番後の振り返りをお手伝いしていると、こうした不安の声をよく聞きます。
元市町村の人事担当として、面接官の立場から言えることがあります。それは、面接官の質問には、ほぼ必ず「意図」があるということです。何となく聞いている質問は、実はほとんどありません。
この記事では、面接官が質問を通して何を確かめようとしているのか、そしてその意図を読んで答えるためのコツをお伝えします。
面接官は、質問を重ねながら「仮説」を確かめている
面接官の頭の中では、ずっと推測が動いている
面接官は、受験者の答えを聞きながら、頭の中で「この人はこういう人なのかな」という仮説を立てています。そして、次の質問でその仮説が合っているかを確かめにいきます。
つまり、面接の質問は一つひとつがバラバラなのではなく、前の答えを受けて、ひとつの流れとしてつながっているのです。
実際の面接で起きた「質問の流れ」
ある方の面接の振り返りをしたときのことです。前職を短い期間で辞めて、市役所への転職を目指している方でした。面接では、こんな流れで質問が続いたそうです。
- 前職ではどんな仕事をしていたか
- 市役所に入ったら、どんな部署で働きたいか(→ 前職と近い福祉の分野を挙げた)
- その分野の仕事をやりたいか(→「やりたいです。ただ、長い目で見ていろいろな部署を経験したい」と答えた)
- 前職をどのように辞めるつもりか
- 最後に改めて、なぜ短い期間で前職を辞めるのか
本人は「最後に同じことをきつめに聞き直されたので、ダメだったと思う」と落ち込んでいました。
でも、面接官の立場からこの流れを見ると、違うものが見えてきます。
おそらく面接官は、2の答えを聞いた時点で、「希望の部署で働けなかったから、前の職場を辞めたいのでは?」という仮説を持ったのだと思います。
そうだとすると、気になるのは「うちに入っても、希望と違う部署に配属されたら、また辞めてしまうのでは?」という点です。だから3で、本当にその分野がやりたいのか、ほかの部署でもやっていけるのかを確かめにいった。そして5で、辞める理由そのものをもう一度確かめた――という流れです。
配属希望の質問は「定着するか」を見ている
この例からわかるのは、配属希望の質問は、単に「何がしたいか」を聞いているのではないということです。
面接官は、「この人は配属先がどこであっても、腰を据えて働いてくれるか」を見ています。市役所の職員は数年ごとに異動するのが当たり前なので、一つの分野にこだわりすぎる人は、どうしても心配になるのです。
この方は3で「いろいろな部署を経験したい」と添えていたので、面接官の心配はかなり和らいだはずです。もし「その分野しかやりたくない」と答えていたら、面接官はさらに意地悪な角度から質問を重ねていたかもしれません。
短期離職の伝え方そのものについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

意図を取り違えると、受け答えがかみ合わなくなる
質問の意図を読めないと、どんなに準備した回答でも、かみ合わない受け答えになってしまいます。模擬面接で実際にあった例を2つ紹介します。
例1:「今の仕事では、そういうことはないの?」
前職で業務改善に取り組み、大きな成果を出した方がいました。その後に転職した今の職場の話になったとき、面接官役の私がこう聞きました。
「今の仕事では、そういうことはないんですか?」
私の意図は、「今の職場でも、業務改善のような取り組みはしていないのか」を聞くことでした。ところがその方は、「今の仕事は、〇〇の審査をしています」と、業務内容の説明で答えてしまいました。
質問の意図がつかめないまま答えると、面接官は「聞きたいことと違う答えが返ってきた」と感じます。そして同じことをもう一度、言い方を変えて聞くことになります。これが続くと、「話がかみ合わない人」という印象につながってしまいます。
この場合は、「今の職場では、まだ業務を覚えている段階なので、改善までは手をつけられていません。ただ、部署によっては改善に取り組んでいるところもあります」と、質問の意図に正面から答えるのが正解でした。
例2:「いつ、転職しようと決めたの?」
もうひとつは、短い期間で転職を考えている方への質問です。
「いつごろ、転職しようと思ったんですか?」
この質問を、そのまま「時期」を聞かれていると受け取って、「〇月ごろです」とだけ答えてしまう方がいます。でも、この質問の裏にあるのは、「なぜやめようと思ったのか。」という疑問です。
ですから、時期を答えたうえで、「実際に働いてみて、〇〇の大切さに気づいたことがきっかけです」と、早く決めた理由まで伝える必要があります。
意図を読むための3つの習慣
質問の意図を読むために、次の3つを意識してみてください。
- 「なぜ今、この質問をされたのか」を一瞬考える:直前の自分の答えの、どこが気になったのかを想像する
- 質問の言葉の裏にある「心配」を探す:「いつ」「どこで」といった質問ほど、裏に「なぜ」が隠れていることが多い
- わからなければ確認してよい:「〇〇という意味でよろしいでしょうか」と聞き返すのは、まったく失礼ではない
厳しい再質問は、必ずしも悪い兆候ではない
先ほどの例のように、面接の終盤で同じテーマを少しきつめに聞き直されると、多くの方は「失敗した」と感じます。
でも、私の経験から言うと、厳しい再質問は、必ずしも悪い兆候ではありません。
面接官がきつめに聞くのには理由があります。たとえば、短い期間で前職を辞める本当の理由が、「やりたいことができないから」なのか、それとも「人間関係のトラブル」なのか。それを見極めるために、あえて少し強めに聞いて、反応を見ることがあるのです。
そして、そういう聞き方をするのは、面接官にとってもリスクがあります。受験者に悪い印象を与えかねないからです。それでもあえて踏み込んだということは、それだけ真剣に採用を検討しているということでもあります。最初から見込みがないと思っている受験者に、わざわざ時間をかけて深掘りはしません。
もしそこで、誠実に、筋の通った説明ができていたなら、それ以上の答えはありません。結果がどうであれ、自分にできることはやりきったと考えてよいと思います。
一次面接と最終面接で、面接官同士がどのように情報を共有しているのかは、こちらの記事で解説しています。
誤解を与えたかもしれないと思ったら、最後に補足する
面接の途中で、「今の答え、誤解されたかもしれない」と感じることもあるでしょう。そんなときに使える方法があります。
「最後に何か質問はありますか?」を活用する
面接の終わりに、「最後に何か聞きたいことはありますか?」と聞かれることがよくあります。この時間は、質問をするためだけのものではありません。
たとえば、こんなふうに使えます。
「質問ではないのですが、一つだけ補足させていただいてもよろしいでしょうか。先ほど〇〇についてお話ししたときに、誤解を与えてしまったかもしれないと思いまして。あれは△△という意図でお話ししました」
言い残したまま帰って後悔するより、最後にきちんと補足したほうがいい。面接官も、自分の発言を振り返って修正できる人だと、かえって好意的に受け取ってくれることが多いです。
その場で訂正してもよい
また、話している途中で「今の言い方は、上から目線に聞こえたかもしれない」と気づいたら、その場で「すみません、今の言い方は誤解を招くかもしれません。訂正させてください」と言って構いません。
市役所の仕事は、住民の方との言葉のやりとりの連続です。自分の言葉に気を配り、すぐに修正できるという姿勢は、それ自体が公務員としての適性のアピールにもなります。

まとめ:面接は「意図」のキャッチボール
この記事のポイントを振り返ります。
- 面接官は、前の答えを受けて仮説を立て、次の質問でそれを確かめている
- 配属希望の質問は「どこに配属されても定着するか」を見ている
- 質問の意図を取り違えると、かみ合わない受け答えになる。「なぜ今これを聞かれたのか」を一瞬考える
- 厳しい再質問は、真剣に検討されている証でもある
- 誤解を与えたと思ったら、その場か、最後の質問の時間に補足してよい
面接官の質問は、受験者を落とすための罠ではありません。あなたのことをもっと知りたいという、面接官からの問いかけです。
その意図を受け止めて、まっすぐに返す。それができれば、面接はきっと、もっと話しやすい場になります。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます😊

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