公務員面接で本音の志望理由はどこまで言う?「家が近い」の伝え方

はじめに:「本当の理由」は、面接で隠すべき?

公務員の面接対策をしていると、多くの方からこんな相談を受けます。

「正直に言うと、一番の理由は家から近いことなんです。でも、それって面接で言っちゃダメですよね?」

「隣の市役所じゃなくてこの市を受ける本当の理由は、今の職場(隣の市の施設)を辞めたあとに、同じ市で働くのが気まずいからなんです……」

こうした本音の志望理由を、面接でどこまで話していいのか。多くの方は「絶対に隠すべき」と考えています。

でも、元市町村の人事担当として言わせていただくと、本音を完全に隠すことが、かえって不利になる場面があります。

この記事では、本音の志望理由との上手な付き合い方と、面接での伝え方のコツをお伝えします。

本音を隠しすぎると、なぜ不利になるのか

きれいな理由だけだと、面接官は「他に何かあるのでは」と思う

「子どもにやさしいまちづくりに貢献したい」「地域の方の暮らしを支えたい」

こうした志望動機は、もちろん大切です。ただ、正直に言うと、どこの自治体でも言えてしまうフレーズでもあります。

特に、隣の市に住んでいたり、隣の市で働いていたりする方が、あえてこちらの市を受ける場合、面接官は必ず「なぜ隣の市ではなく、うちなんですか?」と疑問に感じます。

その疑問に対して、きれいな理由だけを繰り返していると、面接官は、

  • 「何か言えない事情があるのかな?」
  • 「今の職場で人間関係のトラブルがあったのでは?」
  • 「何かやらかして居づらくなったのでは?」

と、悪い方向に勘ぐってしまうんです。これは面接官の性格が悪いのではなく、納得できる理由が見えないと、人はどうしても空白を想像で埋めてしまうものなんですね。

実は本音が「安心材料」になることもある

一方で、本音が面接官にとってプラスに働くこともあります。

私が市役所で人事をしていたときにも、「夫がこの市で働いているので、ずっとここで働き続けたい」という理由で受験された方がいました。

これを聞いたとき、私は「ああ、本音だな」と思いましたし、同時に「この人は簡単には辞めないだろうな」と感じたんです。

人事が一番恐れているのは早期離職です。家が近い、家族がこの街にいる、といった生活に根ざした理由は、「長く働いてくれそう」という安心材料にもなるんです。

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本音の志望理由を上手に混ぜる3つのルール

では、本音をどう扱えばいいのか。私がおすすめしているのは、次の3つのルールです。

ルール1:本音は「メイン」にしない

まず大前提として、本音の理由を志望動機のメインにしてはいけません。

「家が近いからです」がメインになってしまうと、面接官は「自分の都合で職場を選ぶ人なんだな」「仕事の中身には興味がないのかな」と感じてしまいます。

志望動機の軸は、あくまで「この自治体で、こういう仕事をして、こう貢献したい」という前向きな理由です。本音は、そこに添えるものだと考えてください。

ルール2:深掘りされたときに「もう一つの理由として」出す

本音を出すタイミングは、面接官から何度も深掘りされたときです。

面接で同じテーマについて何度も質問されるのは、面接官がまだ納得していないサインです。そういうときに、

「一番の理由は先ほどお話しした通りです。そのうえで、もう一つの理由として、将来的なことを考えたときに、自宅から通いやすく、長く腰を据えて働ける環境であることも大きいと考えました」

と添えると、面接官は「なるほど、そういうことか」とすっきり納得できます。

最初の回答で納得してもらえたなら、わざわざ本音を出す必要はありません。「突っ込まれすぎたら出す」カードとして、手元に持っておくイメージです。

ルール3:矢印を「自分」ではなく「相手」に向ける

本音を伝えるときは、言い方の矢印を相手に向けるようにしてください。

たとえば、「今、会計年度で働いている職場(A市の施設の職員)を辞めたあと、同じA市役所で働くのは気まずい」という本音があったとします。これをそのまま言うと、

NG:「辞めた職場と同じ市で働くのは、自分が気まずいので……」

となり、「自分の都合」に聞こえてしまいます。

これを、矢印を相手に向けて言い換えると、

OK:「今の職場を辞めたあとに、別の職種として同じ市で働くことになると、元の職場の方々も接しづらいのではないかと考えました」

となります。言っている事実は同じでも、周りへの配慮として伝わるので、印象がまったく変わります。

面接全体に言えることですが、自分に矢印が向く言い方は、あまり良い印象を与えません。「自分が変えたい」「自分にとって都合がいい」ではなく、「相手のために」「誰かのために」という言い方を意識するだけで、同じ内容でもぐっと好印象になります。

面接官に向かって穏やかに本音を話す受験者のイラスト

「隣の市ではなく、なぜうち?」を補強する準備

本音の理由を添えるだけでは、もちろん十分ではありません。メインの志望動機を強くするための準備もしておきましょう。

志望先の「具体的な取り組み」を1〜2個頭に入れる

「子育て支援に力を入れたい」と言うのであれば、志望先の自治体がやっている独自の子育て施策を1つか2つ、頭に入れておきましょう。

子どもの権利に関する取り組みなどは、多くの自治体が同じように行っています。そうではなく、「この市ならでは」の取り組みを探すのがポイントです。

さらに、その取り組みについて「ここが良いと思った点」と「自分ならここをこう改善したい点」の両方を考えておくと、深掘り質問にも強くなります。

広報誌とSNSにざっと目を通しておく

広報の仕事に興味があるなど、特定の分野を志望理由に挙げる場合は、直近の広報誌を1冊と、公式サイト・SNSの最近の投稿に目を通しておきましょう。

全部を読み込む必要はありません。ざっと眺めて、「この記事は面白いな」と思えるものが1つ見つかれば十分です。それだけで、面接での会話の厚みがまったく変わります。

市役所のホームページや広報誌を見ながらメモを取る人のイラスト

隣の市と比較したときの「違い」を自分の言葉で

隣の市に住んでいる方ならではの強みもあります。それは、両方の市を生活者の目線で知っていることです。

「隣の市が良い施策を後から取り入れるのを見てきて、自分は先進的に取り組む側で働きたいと思った」など、その土地に住んでいる人にしか言えない言葉は、面接官に強く響きます。

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まとめ:本音は「隠す」ものではなく「使い方を考える」もの

本音の志望理由は、隠すべきものでも、前面に押し出すものでもありません。

  • 本音はメインにせず、前向きな志望動機を軸にする
  • 深掘りされたときに「もう一つの理由」として添える
  • 伝えるときは、矢印を自分ではなく相手に向ける

この3つを押さえておけば、本音はむしろ、あなたの話にリアリティと安心感を与えてくれる強い味方になります。

面接官も人間です。建前だけの話より、本音がほんの少し見えた話のほうが、ずっと信頼できるものなんですよ。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます😊

「自分の本音の理由は、どう言い換えればいいんだろう」「この志望動機で深掘りに耐えられるか不安」という方は、ぜひ一度ご相談ください。元市町村人事のりゅうが、模擬面接で実際に深掘り質問をしながら、あなたの本音を無理なく活かせる答え方を一緒に考えます。キャリア面談で、そもそもの志望理由の整理から始めることもできます。

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